べんきのにっき

いろいろと垂れ流します。

統計検定2級の優秀合格者数を邪推する

統計検定2級の優秀合格者数を邪推した。 先に結果だけ述べると、合格者の2割弱は表彰状がもらえている感じだった。

なお、データは全て統計検定公式HPのものを引用しています。 その中には、現在公開されていない情報も含みます。

※(2018/7/18追記)2018年6月試験の概要が出ていたので更新した。

※(2018/12/30追記)2018年11月試験の概要が出ていたので更新した。

※(2019/7/23追記)2019年6月試験の速報が出ていたので更新した。

※(2020/3/08追記)2019年11月試験の速報が出ていたので更新した。

注意

統計検定2級は、PBTとCBTの2つの試験形式がある。 PBTのデータは公表されているが、CBT形式のデータは公表されていない。

この記事は、PBT試験の優秀成績での合格者がどれくらいいるのかを調べたもの。

PBT

紙の問題冊子を解く形式。英語検定漢字検定と同じで、いわゆる普通の試験を想像すればよい。

PBT形式の試験は年に2回、毎年6月と11月に実施される。

合格発表はWEBが最短で4週間程度かかる。合格証が送られてくるのはそこからさらに1か月くらいかかる。

CBT

パソコンで解く形式。その辺のパソコン教室で受験可能。教室によっては週2回などの頻度で実施しており、ほぼ自由なタイミングで受験することができる。

就職活動の際、どこかの会場に赴いてSPI試験やテストセンターを受けたことがある方はいるだろうか、あれと同じと考えるとよい。

受験したその場で結果がわかる。

※今回はCBTは考察の対象外。

統計検定2級の受験データのまとめ

受験者数に対する合格率は次の表の通り

試験日程 受験者数 合格者数 合格率
2011年11月 346 143 41.3%
2012年11月 840 319 38.0%
2013年11月 1510 635 42.1%
2014年6月 1082 518 47.9%
2014年11月 1625 698 43.0%
2015年6月 1443 640 44.4%
2015年11月 1777 810 45.6%
2016年6月 1690 759 44.9%
2016年11月 1864 815 43.7%
2017年6月 1440 669 46.5%
2017年11月 1644 680 41.4%
2018年6月 1532 669 43.7%
2018年11月 1896 792 41.8%
2019年6月 1938 887 45.6%
2019年11月 2369 988 41.7%

合格の種類

PBT形式の試験には、成績に応じて3種類の合格認定がある。

1. 普通の合格

いわゆる普通の合格。2級のボーダーは得点率60%であり、60%~80%の得点で取得できると考えられている。

2. 優秀成績合格

A評価とかA合格と書かれる場合もある。おそらく80%~90%の得点で取得できると考えられている。

A評価以上の成績で合格すると、合格証以外に表彰状がもらえる。 表彰状には「優秀成績賞」と記載される。

また、統計検定の公式HPで「合格者の声」として感想を掲載してもらうことができる。

3. 最優秀成績合格

S評価とかS合格と書かれることもある。おそらく90%以上の得点で取得できると考えられている。

表彰状には「最優秀成績賞」と記載される。

疑問

実際、何人くらいが優秀成績で合格しているんだろうか。

これは正式には公表されていない情報なので、何らかの方法で邪推しなければならない。 「過去の試験」で公表されている成績優秀者一覧では、公開を許諾した人しか掲載されないことがその理由である。

しかしWEB合格発表では、問答無用で成績別に番号が発表される。 この情報を用いれば、優秀成績の人数が大体わかりそうだ。

その前に、WEB合格発表について簡単に説明する。

WEB合格発表

統計検定には、WEB合格発表の制度がある。

これは、合格証が送られてくる前に、一足早く合否を知ることができるものだ。 これまでの傾向では、試験からだいたい4週間後に発表される。

試験当日にマークシートで「WEB合格発表を希望する」みたいな欄をマークするだけ。追加料金は必要ない。

デメリットは特にない。特別な事情がなければ積極的に利用しよう。

WEB合格発表の利用者数

WEB合格発表の利用率を調べた。

この情報は明示されていないが、WEB合格発表直後に合格者番号を掲載したPDFが公開される。これと、後日掲載される試験ごとの合格者数から、合格者におけるWEB発表の利用率を計算した。

試験日程 総合格人数 WEB発表での合格者数 WEB発表の利用率
2011年11月 143 131 91.6%
2012年11月 319 288 90.3%
2013年11月*1 635 - -%
2014年6月 518 493 95.2%
2014年11月 698 671 96.1%
2015年6月 640 608 95.0%
2015年11月 810 775 95.7%
2016年6月 759 735 96.8%
2016年11月 815 785 96.3%
2017年6月 669 636 95.1%
2017年11月 680 660 97.1%
2018年6月 669 645 96.4%
2018年11月 792 776 98.0%
2019年6月 883 864 97.8%
2019年11月 988 959 97.1%

2014年から、95%を下回っていない。

ほとんど全ての人がWEB合格発表を利用していると考えてよさそうだ。 つまり、WEB発表で確認できる優秀成績の人数がほぼそのまま全体でのそれと考えられそう。

(WEB合格を利用しない者が特別優秀である、みたいなことがなければの話だが。さすがにそんなことはないだろう。)

成績別の合格者数

WEB合格発表の結果をまとめたのが次の表。

試験日程 合格者数(WEB) A合格者数(WEB) S合格者数(WEB)
2011年11月 131 16 8
2012年11月 288 37 12
2013年11月*2 - - -%
2014年6月 493 55 24
2014年11月 671 98 32
2015年6月 608 77 43
2015年11月 775 108 45
2016年6月 735 63 39
2016年11月 785 86 51
2017年6月 636 61 27
2017年11月 660 113 30
2018年6月 645 68 31
2018年11月 776 129 38
2019年6月 864 56 41
2019年11月 959 108 48

WEB合格利用者とそれ以外で合格の傾向に差がないという想定で、優秀成績者数はWEB発表の利用率で割り戻せば大まかには計算できる。

その結果が以下の表。(端数は四捨五入した)

試験日程 合格者数 A合格者数(推定値) S合格者数(推定値)
2011年11月 143 17 9
2012年11月 319 41 13
2013年11月*3 635 - -%
2014年6月 518 58 25
2014年11月 698 102 33
2015年6月 640 81 45
2015年11月 810 113 47
2016年6月 759 65 40
2016年11月 815 89 53
2017年6月 669 64 28
2017年11月 680 116 31
2018年6月 669 70 32
2018年11月 792 132 39
2019年6月 883 57 42
2019年11月 988 111 49

(ほとんどWEB合格発表を利用しているので、これを求める意味もないような気がするが)

合格者に占める優秀成績者の割合

受験者のうち、A合格またはS合格の取得者の割合を、推定値をもとに計算した。

試験日程 AまたはS合格者の割合
2011年11月 18.3%
2012年11月 17.0%
2013年11月*4 -
2014年6月 16.0%
2014年11月 19.4%
2015年6月 19.7%
2015年11月 19.7%
2016年6月 13.9%
2016年11月 17.5%
2017年6月 13.8%
2017年11月 21.7%
2018年6月 15.3%
2018年11月 21.5%
2019年6月 11.2%
2019年11月 16.3%

だいたい2割くらいはいい成績で合格しているらしい。

優秀者の割合が、2016年6月と2017年6月で減っている。 逆に2017年11月はちょっと多い。

優秀者の減少については、次のような仮説が考えられる。

仮説1「統計検定の問題の傾向が、2016年6月と2017年6月で結構顕著に変わっている」

この2試験では、それまでと問題の傾向が少し変化している。

2016年には積分を計算させる問題といった、ちょっとした計算問題が出題された。 それまでは文章だけ読んで暗記していれば大抵どうにかなる問題が多く、ペースを崩された受験者もいたのではないだろうか。

2017年には、「独立でない確率変数について、その相関や共分散を計算する問題」や、「カイ二乗分布の定義を知っていないと解けない問題」が出題された。 11月試験にも同様の問題が出題されたし、作問者が変わったのかなという感じがあった。

あまり良くない言い方だが、数学大嫌いの文系出身者は結構捨てた問題があるんじゃないだろうか。 (とは言っても、数学2Bが出来ていれば計算そのものは楽勝なレベルなのだが・・・)

仮説2「夏試験だけ、受験者の傾向が他と違う」

これは、大学の単位認定に統計検定を使用したとか、そういう明確な情報がないと検証できないのだが、何処かの大学で3級試験を使ったとか使ってないとか聞いたことあるので、可能性はあるかも、という程度。

追記(2018年7月18日)

やはり6月試験でAまたはS合格の割合が減っていた。 問題の傾向も変化していたので、例年通りの推移? 11月の試験でまたA合格の人が増えるなら、わかりやすい傾向だと思う。

追記(2018年12月30日)

予想通り、2017年11月と同水準までAまたは合格が増えていた。 2019年試験はどんな傾向になるだろうか。

追記(2019年7月23日)

今回試験では、合格者に占める優秀成績者の割合が11.2%と、過去最低をマークした。 2020年試験で10%を割るのが目標なのだろうか。

追記(2020年3月8日)

今回試験では、合格者に占める優秀成績者の割合が16.3%と、直近3年における11月試験の最低数値をマークした。 2020年試験の優秀合格者率は、6月10%で、11月に15%を目指すんじゃないの?と予想してみる。もちろん統計的な根拠は全くない

ところで、6月試験と11月試験を単に比較すると、次のようになる

  • 6月試験:合格率は高いが、優秀合格率は低い
  • 11月試験:合格率は高いが、優秀合格率は高い

もちろんこれ合格者(=合格基準)でselectionが入っているので、これだけで因果的な解釈を行うことはできない。 受験月や合格率を規定するcommon causeってどんなものがあるんだろうか。

社会人比率/6月に何か時期的な意味がある?/???

毎年6月に問題傾向が変わる→点数低め→得点調整→???

うーん、よくわかんない

*1:この試験のみ、資料が入手できなかったので計算できなかった

*2:この試験のみ、資料が入手できなかったので計算でき(ry

*3:資料が入手できなか(ry

*4:こ(ry