内容
ガンマ分布 のパラメータ
の推定量の分散の下限について。
ガンマ分布の密度関数
の推定量の分散の下限
以下では、を既知とし、
の推定について考える。
の分散の下限は
これ自体は ガンマ分布の推定量の漸近分布 - べんきのにっき で計算したのでそちらを参照。
大きさnの標本であれば
ここで、次の統計量を考える。
このとき、であるため、平均と分散は次のようになる。
つまり、の推定量として
が考えられる。この推定量の期待値と分散は次のようになる。
分散の下限を達成しており、有効推定量であることがわかる。
の推定量の分散
クラメルラオの不等式より、パラメータの関数
の不偏推定量
の分散の下限が次の式で与えられる。
であると考えると、分散の下限は次のように計算できる。
ここで、の期待値と分散は次のようになる。
つまり、 とすれば、これは
の不偏推定量である。
この期待値と分散*1は次の通り。
つまり、これは有効推定量ではない。
続き
では、が推定量として性質がよくないかというと、そうでもない。
と言うのも、が完備十分統計量であることから、Lehmann-Scheffeの定理が使えるからである。
Lehmann-Scheffeの定理は、「完備十分統計量の関数から作った不偏推定量はUMVUE(一様最小分散不偏推定量)である」というもの。
つまりはUMVUEであるから、不偏推定量の中では標準誤差が最小である。
*1:ガンマ関数の性質を用いる。式変形だけでほぼ計算不要